運送事業者は事故が発生した場合、報告や記録をしなければなりません。
事故の定義
事故は以下の用に定義されています。
- 自動車が転覆し(道路上のおいて路面と35度以上傾斜したとき)転落し(道路外に転落した場合で、その段差が0.5m以上のとき)、火災(積載物の火災を含む)を起こし、または鉄道車両(軌道車両を含む。以下同じ)と衝突し、若しくは接触したもの
- 10台以上の自動車の衝突または接触を生じたもの
- 死者または重傷者(下記の障害を受けた者をいう)を生じたもの
- 脊柱の骨折、もしくは、脊柱の骨折で脊髄を損傷したと認められる症状を有するもの
- 上腕または前腕の骨折、もしくは、上腕または前腕の骨折で合併症を有するもの
- 大腿または下腿の骨折
- 内臓の破裂、もしくは、内臓の破裂で腹膜炎を併発したもの
- 病院に入院することを要する障害、若しくは、14日以上病院に入院することを要する障害で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの
- 14日以上病院に入院を要する障害
- 10以上の負傷者を生じたもの
- 自動車に積載された次に掲げるもの(危険物、火薬類、高圧ガス等)の全部もしくは一部が飛散し、または漏えいしたもの
- 消防法第2条第7項に規定する危険物(塩素酸塩類、過塩素酸塩類、無機過酸化物、亜塩素酸塩類等)
- 火薬類取締法第2条第1項に規定する火薬類
- 高圧ガス保安法第2条に規定する高圧ガス(常用の温度において圧力が1メガパスカル以上となる圧縮ガス、または温度35度において圧力が1メガパスカル以上となる圧縮ガス(圧縮アセチレンガスを除く)等)。
- 原子力基本法第3条第2号に規定する核燃料物質およびそれによって汚染されたもの。
- 放射性同位元素等の規制に関する法律第2条第2項に規定する放射性同位元素およびそれによって汚染されたものまたは同条第5項に規定する放射線発生装置から発生した同条第1項に規定する放射線によって汚染されたもの。
- シアン化ナトリウムまたは毒物および劇物取締法施行令別表第2に掲げる毒物または劇物
- 道路運送車両の保安基準第47条第1項第3号に規定する品名の可燃物
- 自動車に積載されたコンテナが落下したもの
- 酒気帯び運転、無免許運転、大型自動車等無資格運転または麻薬等運転を伴うもの
- 運転者の疾病により、事業用自動車の運転を継続することができなくなったもの
- 救護義務違反があったもの
- 自動車の装置の故障により、自動車の運行ができなくなったもの
- 車輪の脱輪、被けん引自動車の分離を生じたもの(故障によるものに限る)
- 橋脚、架線その他の鉄道施設を損傷し、3時間以上本線において鉄道車両の運転を休止させたもの
- 高速自動車国道または自動車専用道路において、3時間以上自動車の通行を禁止させたもの
- 上記に掲げるもののほか、自動車事故の発生の防止を図るために国土交通大臣が特に必要と認めて報告したもの
事故の報告
事業者は、その使用する自動車について、上記に該当する事故が発生した時は、「自動車事故報告書」を30日以内に3通、その自動車の使用の本拠の位置を管轄する運輸支局に提出する必要があります。
速報
事業者は、使用する自動車について、次に該当する場合には、24時間以内に電話やFAXで運輸支局に連絡をいれなければなりません。
- 2人以上の死者を生じた者
- 5人以上の重傷者を生じた者
重傷者とは前述の事故の定義の3に該当する者のこと - 10人以上の負傷者を生じた者
- 自動車が転覆し、転落し、火災を起こし、または鉄道車両、自動車その他の物件と衝突し、もしくは接触したことにより生じる積載物漏えい事故
- 法令違反事故(酒気帯び運転)
もし、24時間を過ぎてしまったとしても、出来るだけ早く速報を入れます。第1報は把握している範囲で速やかに報告し、第1報後も追加情報(事故概要、死者重傷者数および負傷者数、事故車の登録番号など)を速やかにほうこくしなければなりません。
事故の記録と管理
どんな事故であっても記録を残すことが必要です。
事故の記録の作成時期は、事故発生後30日以内です。
事故の記録と内容
事業者は、事故が発生した場合には、所定事項を記録し、その記録をその事業用自動車の運行を管理する営業所において事故発生後3年間保存しなければならない。
記載事項は以下の通りです。
- 乗務員の氏名
- 事業用自動車の自動車登録番号、事業者が定めた車番または車号等
- 事故の発生日時および場所
- 事故の当事者の氏名(乗務員を除く)
- 事故の概要(損害の程度を含む)
- 事故の原因
- 再発防止策
「事故発生場所」は、事故発生場所付近の地図にその場所を表示したものを添付します。
「事故の概要」は、自動車事故報告規則別記様式の「当時の状況」「事故の種類」「道路等の状況」「当時の運行計画」「損害の程度」を記載します。
また、事故の概要は、運転者台帳へも記録します。この事故記録により、類似事故、悪質事故(歩行者、自転車との人身事故)、事故多発者等の実態が把握できます。
事故を起こしてしまったら、その後の監査などが怖くて、報告書の提出や速報の連絡をためらってしまうかもしれませんがルールには従わなくてはなりません。
事故を起こしてしまったとしても、今後は事故を絶対おこさないという会社の姿勢を見せる意味でも、法令遵守は徹底するべきでしょう。
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