産業廃棄物収集運搬業を他人の依頼を受けて運搬するには「許可」が必要です。この記事では「産業廃棄物収集運搬業の許可取得方法」について簡単にまとめています。これから産業廃棄物収集運搬業許可の取得を考えている方にとって少しでも参考になれば幸いです。
産業廃棄物収集運搬業許可が「必要」な場合とそうでない場合
「他人の委託を受けて産業廃棄物の収集運搬する」には「許可」が必要です。では具体的にはどういった場合に「許可」が必要になるのでしょうか。
産業廃棄物収集運搬が必要になる事業活動と許可が必要な業務
廃棄物処理法では「他人から委託を受けて産業廃棄物の収集運搬や処分を業として行おうとする者は、業を行おとする区域を管轄する都道府県知事等の許可が必要」と定められています。
他人の委託を受けて産業廃棄物を収集運搬する場合に必要な「許可」ですので、どんな業種や業務であったとしても同じです。
オフィスビルであっても、ホテルであっても、建設業者であっても「他人に産業廃棄物の収集運搬を委託」する場合には「許可」が必要となります。
ちなみにですが病院、社会福祉施設、官公庁、学校等の公共公益事業も含まれます。
運搬許可不要に該当するケース
逆に他人に委託しない場合(自社運搬)には「許可は不要」になります。
要するに自分で出したものを自分で処分する分には「許可」は不要という事です。
産業廃棄物収集運搬許可を取得する要件を解説
産業廃棄物収集運搬業許可は一定の許可基準(要件)を満たしている者(法人、個人)に対して行われます。
許可基準は「申請者の能力」と「欠格要件」の2つに大きく分かれます。
申請者が確認したい欠格要件
欠格要件とは、法に従った適正な事業の遂行が期待できない者を類型化して排除することを趣旨としたもので、廃棄物処理法で規定されています。
例えば…
- 破産者
- 拘禁刑以上の刑に処せられた者
- 意思疎通や認知、判断ができない者(成年被後見人等)
等です。
許可を受けた後に欠格要件に該当してしまうと、許可の取消し対象となってしまいます。
車両・運搬容器の基準
「申請者の能力」の一つとして収集運搬業に「車両」、「容器」を有している事が求められます。
「車両」や「容器」は収集運搬する産業廃棄物に適したものである必要があります。
例えばですが、液体状の産業廃棄物を収集運搬するのであれば「タンク車」や「液体が漏れない容器」が必要ですし、悪臭が発生するものであれば「密閉式の容器」等が必要となります。
講習の受講が必須?収集運搬許可講習会と修了証の扱い
こちらも「申請者の能力」に関する事ですが、「日本産業廃棄物処理振興センター」が実施している「講習会」を修了した者を産業廃棄物に関する知識・技能を有する者として見なしているため、「講習会」の受講は必須となります。
産業廃棄物収集運搬業許可の取得方法と流れ
産業廃棄物収集運搬業許可の取得までの流れについて理解しておきましょう。
事前準備から許可申請までの手続きの全体像
まずは申請に準備が必要です。要件を充足しているかの確認や必要書類の収集です。
準備が整えば許可行政庁(例えば大阪府知事等)に対して申請を行います。
講習会の申込・受講から修了証の交付までの流れ
許可取得に必ず必要な「講習会」の受講ですが、申込~修了証が交付されるまでの流れは以下の通りです。
- 申込
申込はWebのみです
- 受講
オンライン形式と対面形式があります
- 試験
指定された会場で試験を受けます。対面形式の場合には受講後に同会場で試験が実施されます。
- 修了証の交付
試験に合格していれば、約3週間後に修了証が交付されます
この「講習会」は全国で行われています。どこの「講習会」を受講しても構いません。近くの「講習会」が定員超過で締め切っていたとしても、遠方の「講習会」を修了して要件を満たす事も可能です。
産業廃棄物収集運搬許可申請に必要書類一覧
産業廃棄物収集運搬業許可申請では許可基準(要件)を満たしているかどうかを提出する書類で審査される事になります。
申請書類・様式・証明書など入手が必要な基本書類
基本的には様式があるものと、収集して添付する書類の2通りになります。
申請書等の様式のあるものは許可行政庁のホームページ等でダウンロードすることができます。
収集して添付する書類としては以下のものが必要です。
- 講習会の修了証の写し
- 法人登記簿謄本
- 直近3年分の決算書類(確定申告書、貸借対照表、損益計算書)
- 直近3年分の納税証明書
- 定款
- 住民票
- 登記されていない事の証明書
- 自動車検査証記録事項
- 車両の写真
- 容器の写真
- 事務所付近の地図
- 駐車場付近の地図
上記は基本の書類です。状況によっては追加で書類を求められる事もあります。また審査内容に疑義がある場合は現地調査をされる可能性もあります。また事項で説明している通り、「法人」と「個人」では必要書類に違いがありますし、自治体毎に求められ書類が異なる点には注意が必要です。
法人で提出する書類と個人で必要な書類の違い
「法人」と「個人」では用意する書類が若干異なります。ほとんどは一緒なのですが、例えば「法人」の場合には”定款”や”法人登記簿謄本”が必要ですが「個人」では不要です。
また納税証明書も「法人」の場合には”法人税”の納税証明書ですが、「個人」の場合には”所得税”の納税証明書が求められますし「決算書類」も不要です。(その代わりに資産に関する調書を作成します)
車両関係、自動車検査証記録事項、事業計画、添付書類のチェックポイント
今は電子車検証が主流となっていますので、「自動車検査証」ではなく「自動車検査証記録事項」の添付を求められます。なぜかと言うと「自動車検査証」は情報が省略されている為です。「自動車検査証記録事項」には情報が網羅されています。
審査では使用権原の確認が行われますので「使用者」欄が申請者でなければなりません。
「使用者」が別人(申請者が法人で車両の使用者が代表者の場合も別人扱いとなります)の場合には「車両の貸借に関する証明書」という書類を追加で添付しなければなりません。
車両の写真についても細かい規定があり「正面」と「側面」をそれぞれ撮影しなければなりません。この際に注意しなければならない点は”車両の全体が写っている事”、”ナンバーが確認できること”、”荷台に荷物を積んだり、シートで覆ったりしないこと”です。
事業計画については、基本的には「何を」、「どこからどこへ」、「どのように」で考えます。
産業廃棄物はどんなもので、排出場所はどこで、処分先はどこで、車両や容器はどのような物を使うのかという事です。
例えば、車両が軽トラ1台でガレキ等を何百トンも運ぶのは変ですし、普通の平ボディ車で容器を使わずに液体の産業廃棄物を運ぶのはおかしいですよね。要するに事業計画全体で整合性がとれていなければならないという事です。
費用はいくら?手数料・講習費用・行政書士報酬の目安
産業廃棄物収集運搬業許可取得に関しては「行政に支払う手数料」、「講習会受講の為の費用」、「専門家(行政書士)に支払う報酬」等、様々な費用が発生します。
許可申請でかかる手数料と納付方法
新規の許可申請でかかる手数料は1自治体あたり8万1千円です。
例えば、大阪府で排出された産業廃棄物を兵庫県の処分場に搬入する事業計画であれば「大阪府」と「兵庫県」2つの許可が必要になりますので16万2千円かかるということです。
納付方法としては自治体毎にバラバラです。現金のみ、証紙のみ、電子マネー・クレジット対応等様々です。
講習会の受講費用と更新時にかかる期間・コスト
講習会の費用は取り扱う産業廃棄物が「普通産業廃棄物」(特別管理産業廃棄物以外の産業廃棄物)か「特別管理産業廃棄物」か、オンライン形式か対面形式かで異なってきますが「普通産業廃棄物」の場合には3万円程度、「特別管理産業廃棄物」は5万円程度となっています。
産業廃棄物収集運搬業許可は5年毎の更新制になっており、継続して事業を営む場合には許可の更新が必要になりますが、その際にも「講習会の修了証」が必要となります。許可更新のための講習会費用は約2万円程度(普通産業廃棄物・特別管理産業廃棄物共通)となっています。
自分で申請する場合と行政書士へ依頼する場合の費用比較
産業廃棄物収集運搬業許可の申請は片手間で出来るような簡単なものではありません。
準備、申請、補正等、慣れていなければ多くの時間と労力を要します。
時間がたっぷりあれば別ですが、そうでなければ専門家(行政書士)に任せたいと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
当然ですが、専門家(行政書士)に依頼するとその分費用が増すことになります。専門家(行政書士)への報酬の相場は10万~15万円といったところでしょうか。
許可を受ける為の要件の確認、申請書作成、書類の準備、窓口との折衝、補正対応等々、スムーズにいけばよいですがそうでなければ、要件の確認間違い(例えば欠格要件者が含まれていた、資金が足りない)、申請書の書き直し、追加書類の収集、窓口への行き帰りの時間、申請後も不備や間違いの修正等の補正対応など考えただけでもゾッとしますよね。
専門家(行政書士)はこれら一切をサポートしてくれます。許可申請に使う時間や労力を別の事に使えますので大変有意義ではないでしょうか。
自分で取得する方法と失敗しない準備のコツ
時間に余裕もあり、ご自身で産業廃棄物収集運搬業の許可申請をお考えの方もいらっしゃるでしょう。自分で許可取得する方法と失敗しない準備のコツはどのようなものでしょうか。
産業廃棄菟物収集運搬許可申請を自分で進めるメリット・デメリット
メリットとしては費用が安いことでしょう。
デメリットとしては「時間」、「労力」がかかる事です。
自身で許可申請する場合には手数料しかかからないので費用を抑える事ができますが、反面、慣れていない事をやるので「時間」、「労力」を要します。
また、申請先が複数自治体になるとハードルが一気にあがります。なぜかというと申請先の自治体毎にローカルルールが存在するからです。書類を整えたら後は同じものを持っていくだけでしょ。と思いがちですがそうでない場合が多々あります。意気揚々と窓口のおもむいたら書類が足りなくて出直しなんてケースもめずらしくありません。
予約が必要な自治体も存在します。これも確認せずに行くと受付してもらえず痛い目を見ることになります。予約も自治体によっては1カ月先まで待たなければならない事あるので注意が必要です。
審査で見られやすいポイントと書類不備を防ぐ注意点
産業廃棄物収集運搬業許可の審査は提出する書類で行われます。
ですので要件(許可基準)を満たしているかどうかを書類から読み取る事ができるかどうかがポイントとなります。
欠格要件に該当していないか?講習会の修了証はあるか?産業廃棄物に適した車両や容器か?等です。
それから、事業計画の整合性をとることや「環境保全措置」(産業廃棄物をどのように運搬し、飛散や流出をどのように防ぐか等)の記述も具体的にしっかりと書くことが必要です。
提出書類が多岐にわたるので、書類不備は出来るだけ防ぎたいですよね。
予防方法としては、第3者の目で一度見てもらう事と各自治体には必要書類のチェックリストを用意している所が多いですのでそれを利用することです。これである程度は予防できるでしょう。
手引きの活用方法と担当窓口へ事前確認すべき事項
申請にあたって多くの自治体で「申請の手引き」が用意されている事が多いです。
この「申請の手引き」は許可申請の為の取扱説明書みたいなもので、手引き通りに申請書を書いたり、書類を集めれば問題ないように作られています。
ただ、結構なボリュームがあるのと専門用語も多々含まれているので、最初は読みずらいかもしれません。何度も読み込むことになるでしょう。
また、手引きを読んでも分からない事がきっと出てくると思います。そういった場合には手引きに記載してある問合せ先等に確認します。
ある程度手引きを読み込んでから問い合わせをすると、わりとすんなり理解できることもあるので、個人的にはその方法をお勧めします。
窓口は基本的に聞いた事にしか答えてくれません。事前に調べてから聞いた方が最初から全部聞くより、結果効率的(電話では綱が習い時もあるし、問合せ時間できる時間も決まっている為。)であるような気がします。
「産業廃棄物収集運搬業許可」の事なら産業廃棄物収集運搬業許可大阪アシストセンターへお気軽にご相談ください。
