近年、日本人の若者(10~30代)の免許取得者数は減少しており、60歳以上の割合が増加している。外国人は逆に、若年ドライバーの数が多いという統計がでています。
自動車運送業界は若年ドライバーの減少や2024年問題等で運転者不足となっており、この問題の解決として期待されているのが外国人在留資格の「特定技能制度」です。
「特定技能制度」とは在留資格の一種で、人材の確保が困難な一部の産業分野における人手不足に対応する為、一定の専門性・技能を有する外国人を即戦力労働者として受け入れる制度です。
「特定技能」には「1号」の在留資格と「2号」の在留資格があり、「2号」の在留資格は「1号」の在留資格より専門的な技能が必要となっています。
2024年3月29日の閣議決定により、自動車運送業分野では3区分(トラック、バス、タクシー)が追加となりました。
なお制度開始から令和10年度までの5年間における自動車運送分野での1号特定技能外国人の受け入れ上限は24500人となっています。
特定技能外国人を受け入れるための要件
特定技能外国人を受け入れるためには、企業側、外国人側でそれぞれ満たさなければならない要件があります。
また雇用形態・契約内容についても同じく要件があります。
各々の要件は以下の通りです。
企業側の要件
企業側の要件は以下の通りです。
- 労働・社会保険、租税に関する法令を遵守していること
- 1年以内に同種の業務に従事する労働者の非自発的離職や行方不明者を発生させていないこと
- 刑罰や暴力団等の欠格事由に該当していないこと
- 義務的支援実施にかかる費用を負担する事
義務的支援とは、受け入れ企業に義務とされている、出入国する際の送迎や日本での日常生活のサポート等の事をいいます(義務的支援は全10項目あります) - 道路運送法に規定する自動車運送事業を経営する物であること
- 下記のいずれかであること
- 働きやすい職場認証の取得
- 安全性優良事業所(Gマーク)の保有
- 自動車運送業分野特定技能協議会の構成員になり、必要な協力を行う事
自動車運送業分野特定技能協議会とは特定技能制度の適切な運用を図るために設置されている機関のこと
外国人に関する要件
外国人に関する要件は以下の通りです。
- 18歳以上であること
- 健康状態が良好であること
- 必要な知識や技能が試験等により証明されていること
- 日本語能力が試験等により証明されていること
雇用形態・契約内容に関する要件
- トラック運転およびそれに付随する業務であること
- 直接雇用で、フルタイムであること
- 報酬の額が同等の業務に従事する日本人労働者と同等以上であること
- 外国人が一時帰国を希望した場合には、必要な有給休暇を取得させること
特定技能外国人を受け入れる場合には、上記の要件の他にも、採用に当たっての検討や登録支援機関への相談、入管への申請等やることが多く、かなりハードルが高いと言えます。
しかし、運転者不足を解決する手段としては有用なため、今すぐとはいかなくても準備をしておくことは重要なことだといえるでしょう。
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