トラック運送業(一般貨物自動車運送事業)を始めるためには、国土交通大臣の許可を受けなければなりません。
トラック運送業を始めるためにはすべきことがあります。
それは、「許可の要件」をクリアするということです。
事業を営むための「許可」ですから、トラック運送事業者として満たすべき必要な基準が設けられています。
それが「許可の要件」です。
許可の基準は大別すると以下のようなものになります。
- 申請する者の事業計画が輸送の安全確保のために適切であること
- 事業の継続的な遂行のために適切な計画を有していること
- その者が事業を継続して遂行できる能力があること
基準をさらに細かく分類すると
のようになり、詳細は通達において定められています。
新たにトラック運送事業を始める者は、これら項目にそった事業計画を立て、国土交通大臣に申請を行い、許可を得る事が必要になります。
また、この事業計画を変更するときにも、国土交通大臣に事業計画の変更のための申請を行わなければなりません。勝手に新規参入時の事業計画を変更することは許されません。
営業所
営業所とは、事業者の営業の本拠であって営業上の主要な事業活動の行われる一定の場所をいいます。営業所の基準は次のようなものです。
- 使用権原を有する事
- 都市計画法などの関係法令に抵触しないこと
- 規模が適切なものであること
- 必要な備品を備えているなど、事業遂行上適切なものであること
車両数
許可を得る為には、最低車両数5台を備える必要があります。
- 営業所毎に5台以上必要
- トラクタ、トレーラーはセットで1台としてカウントされます
- 一部霊柩車等は5台に満たない場合の特例があります
事業用自動車
- 車両の大きさ、構造などが輸送する貨物に適切であること
- 使用権原を有する事
車庫
トラックを保有する為、当然に車庫が必要になります。
- 営業所に併設すること(原則)
同じ敷地内にあるなど - 車両と車庫の境界および車両相互間の間隔が50cm以上確保され、かつ全ての車両を容易に収容できること
- 他の用途に使用される部分と明確に区画されていること
- 使用権原を有するものであること
- 都市計画法等の関係法令の規定に抵触しないこと
- 前面道路については、原則として幅員証明により、車両制限令に適合すること
休憩・睡眠施設
トラックの安全運行の確保のために、ドライバーのための休憩・睡眠施設が必要になります。
- 営業所か車庫に併設されること(原則)
- 睡眠を与える必要がある場合には、同時睡眠者1人当たり2.5㎡以上の広さを有する事
- 使用する権原を有するものであること
- 都市計画法など関係法令の規定に抵触しないこと
運行管理体制
事業者の安全性の確保等の適切な運営を基礎づけるため。基準に沿った運行管理体制を敷かなければなりません。
- 車両数や事業計画に応じた適切な運転者を常に確保すること
- 必要な数の運行管理者を確保する計画であること
- 運転者の勤務時間、乗務時間は「改善基準告示」に従う事
- 運行管理に関する担当役員など、運行管理に関する社内の指揮命令系統が明確であること
- 車庫と営業所が併設できない場合には、車庫と営業所が常時密接な連絡をとれる体制を整備し、点呼等が確実に実施される体制が確立されていること
- 事故防止についての教育、指導体制を整え、かつ、事故の処理および自動車事故報告規則に基づく報告の体制が整備されていること
- 危険物を積載する輸送を行う場合には、消防法等関係法令に定める取扱い資格者が確保されていること
整備管理体制
トラックの安全運行を確保するため、事業用自動車の点検及び整備管理体制を整えなければなりません。
- 必要な数の整備管理者がいる事
- 点検及び整備の担当役員など、点検及び整備管理に関する指揮命令系統が明確であること
資金計画
トラック運送事業を始めるには、はっきりとした資金計画を立てる事が必要です。
- 計画で必要になる資金(以下、所要資金という)の見積もりが適切なものであること
- 所要資金の調達に十分な裏づけがあること、自己資金が所要資金に相当する金額以上であることなど、資金計画が適切であること
- 自己資金が、申請日以降から許可日までの間、常時確保されていること
法令遵守
トラック運送事業を営む際には、第一に関係法令の遵守が求められます。
申請する者あるいは法人の役員は、トラック運送事業の遂行に必要な法令の知識を持っていることが必要になります。
- 法人の役員等が法令試験に合格すること
各種社会保険にも加入している必要があります。
社会保険(健康保険、厚生年金)および、労働保険(労災保険、雇用保険)の加入義務者がこれら保険に加入していなければなりません。
新規事業者には事業開始の届出後、1カ月~3カ月以内に地方適正化実施機関(トラック協会)による巡回指導が実施されることになっています。
この巡回指導では、営業所、車庫、車両などの現況確認とともに、関係法令の遵守状況が中心に行われます。
損害賠償能力
トラック運送事業を営んでいく上で、交通事故をはじめ色々な事故の発生する可能性があります。そこでトラック運送事業者は事故に対する損害賠償能力を備えておくことが必要となります。
- 自賠責への加入、任意保険の締結など十分な賠償能力を有すること
- 対人無制限、対物200万円以上の任意保険に加入すること
- 危険物(石油類、化成品類、高圧ガス類など)の輸送に使用する事業用自動車については、適切な保険へ加入する計画を立て、十分な損害賠償能力を有していること
- 貨物の運送に生じた損害に対する賠償について必要な金額を担保することができる保険契約に加入する計画があること
欠格事由
貨物自動車運送事業の許可を申請する者が、以下の欠格事由に該当する場合などは許可を受けることが出来ません。
- 1年以上の懲役または禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受ける事なくなった日から5年を経過しない者
- 一般貨物運送事業または特定貨物運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から5年を経過しない者
処分逃れを目的として廃業を行った場合や、許可取消を受けた者の密接関係者(議決権の過半数を所有する、資本金の1/2を出資している、事業方針の決定について支配力を有している等)についても5年以内に許可を得る事ができなくなっています。
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