食品営業をするための施設の共通許可基準

食品営業をするためには、営業許可がないと営業できない業種があります(飲食店営業等)。
その営業許可をもらうための要件の一つに施設の基準があります。
施設の基準には「全業種共通の基準」と共通の基準に加えて各業種毎の「個別の基準」があります。
(「個別基準」についてはまた別記事で紹介したいと思います。)

第五十四条 都道府県は、公衆衛生に与える影響が著しい営業(食鳥処理の事業を除く。)であつて、政令で定めるものの施設につき、厚生労働省令で定める基準を参酌して、条例で、公衆衛生の見地から必要な基準を定めなければならない。

食品衛生法

共通基準

共通基準(大阪府食品衛生法施工条例では)は以下のように定められています。

営業設備の構造

施設施設は、屋外からの汚染を防止し、衛生的な作業を継続的に実施するために必要な構造又は設備、機械器具の配置及び食品又は添加物を取り扱う量に応じた十分な広さを有すること
区画食品等への汚染を考慮し、公衆衛生上の危害の発生を防止するため、作業区分に応じ、間仕切り等により必要な区画がされ、工程を踏まえて施設設備が適切に配置され、又は空気の流れを管理する設備が設置されていること。
ただし、作業における食品等又は従事者の経路の設定、同一区画を異なる作業で交替に使用する場合の適切な洗浄消毒の実施等により、必要な衛生管理措置が講じられている場合は、この限りではない。
なお、住居その他食品等を取り扱うことを目的としない室又は場所が同一の建物にある場合は、これらと区画されていること。
汚染等防止じんあい、廃水及び廃棄物による汚染を防止できる構造又は設備並びにねずみ、昆虫等の侵入を防止できる構造であること
床・内壁・天井床面、内壁及び天井は、清掃等を容易にすることができる材料で作られ、清掃等を容易に行うことができる構造であること
・床面、内壁の清掃等に水が必要な施設にあっては、床面は不浸透性の材質で作られ、廃水が良好であること。
内壁は、床面から用意に汚染される高さまで、不浸透性材料で腰張りされていること。
※腰張り:腰とは壁の中間部分から下をいい、腰の下の部分に上とをは違う仕上げ材を張る事をいう。
証明設備照明設備は、作業、検査及び清掃等を十分にすることができるよう必要な照度を確保できる機能を備える事。
換気設備食品等を取り扱う作業をする場所の真上は、結露しにくく、結露によるかびの発生を防止し、及び結露による水滴により食品等を汚染しないよう換気が適切にできる構造又は設備を有すること
駆除設備必要に応じて、ねずみ、昆虫等の侵入を防ぐ設備及び侵入した際に駆除するための設備を有すること。
手洗設備従事者の手指を洗浄消毒する装置を備えた流水式手洗い設備を必要な個数有すること。なお、水栓は、洗浄後の手指の再汚染が防止できる構造であること。
洗浄設備食品等を洗浄するため、必要に応じて熱湯、蒸気等を供給できる使用目的に応じた大きさ及び数の洗浄設備を有すること。
冷蔵冷凍設備食品又は添加物を衛生的に取り扱うために必要な機能を有する冷蔵又は冷凍設備を必要に応じて有すること。製造及び保存の際の冷蔵又は冷凍については、法第13条第1項(食品衛生法)の基準又は規格に冷蔵又は冷凍について定めがある食品を取り扱う営業にあっては、その定めに従い必要な設備を有すること。
保管設備原材料を種類及び特性に応じた温度で、汚染の防止可能な状態で保管することができる十分な規模の設備を有すること。また、施設で使用する洗浄剤、殺菌剤等の薬剤は、食品等と区別して保管する設備を有すること。
製品包装場所製品を包装する営業にあっては、製品を衛生的に容器包装に入れることができる場所を有すること。
添加物取り扱設備添加物を使用する施設にあっては、それを専用で保管することができる設備又は場所及び計量器を備えること。
更衣場所更衣場所は、従事者の数に応じた十分な広さがあり、かつ、作業場への出入りが容易な位置に有すること。

食品取扱設備

機械器具・機械器具等は、適正に洗浄、保守及び点検をすることができる構造であること。
・作業に応じた機械器具等を備える事。
・食品又は添加物に直接触れる機械器具等は、耐水性材料で作られ、洗浄が容易であり、熱湯、蒸気又は殺菌剤で消毒が可能なものであること
固定し、又は移動し難い機械器具等は、作業に便利であり、かつ、清掃及び洗浄をしやすい位置に有すること組立式の機械器具等にあっては、分解及び清掃しやすい構造であり、必要に応じて洗浄及び消毒が可能な構造であること。
運搬容器食品又は添加物を運搬する場合にあっては、汚染を防止できる専用の容器を使用すること。
計量器冷蔵、冷凍、殺菌、加熱等の設備には、温度計を備え、必要に応じて圧力計、流量計その他の計量器を備えること。

給水、排水及び汚物処理設備

給水設備・水道事業等により供給される水又はこれ以外の飲用に適する水を施設の必要な場所に適切な温度で十分な量を供給することができる給水設備を有すること。水道事業等により供給される水以外の水を使用する場合にあっては、必要に応じて消毒装置及び浄水装置を備え、水源は外部から汚染されない構造を有すること。貯水槽を使用する場合にあっては、食品衛生上支障のない構造であること
・法第13条第1項(食品衛生法)の基準又は規格に食品製造用水の使用について定めがある食品を取り扱う営業における上記の基準の適用については、「飲用に適する水」とあるのは「食品製造用水」とし、食品製造用水又は殺菌した海水を使用できる旨の定めがある食品を取り扱う営業における上記の基準の適用については、「飲用に適する水」とあるのは「食品製造用水若しくは殺菌した海水」とする。
排水設備・十分な排水機能を有し、かつ、水で洗浄をする区画及び廃水、液性の廃棄物等が流れる区画の床面に設置されていること
・汚水の逆流により食品又は添加物を汚染しないよう配管され、かつ、施設外に適切に排出できる機能を有すること。
・配管は十分な容量を有し、かつ、適切な位置に配置されていること
便所以下の要件を満たす便所を従事者の数に応じて有すること。
⑴作業場に汚染の影響を及ぼさない構造であること。
⑵専用の流水式手洗い設備を有すること
廃棄物容器廃棄物を入れる容器又は廃棄物を保管する設備については、不浸透性及び十分な容量を備えており、清掃がしやすく、汚液及び汚臭が漏れない構造であること。
清掃用具作業場の清掃等をするための専用の用具を必要数揃え、その保管場所及び従事者が作業を理解しやすくするために作業内容を掲示するための設備を有すること

簡易飲食店の基準の一部緩和

簡易飲食店は上記の共通基準の一部が緩和されます。

簡易飲食店とは以下のような営業をいいます。

そのままの状態で飲食に供することのできる食品を食器に盛る、そうざいの半製品を加熱する等の簡易な調理のみをする営業をいう

喫茶店営業(喫茶店、サロンその他設備を設けて酒類以外の飲物又は茶菓を客に飲食させる営業をいう。)を含む

大阪府食品衛生施工条例

例えば以下のような営業です。

  • 既製品(そのまま喫食可能な食品(そうざい、ハム、ソーセージ、スナック菓子、缶詰、おでん等))を開封、加温、盛り付け等して提供する営業
  • 半製品(唐揚げ、フライドポテト、ソフトクリーム等)を簡易な調理(揚げる、焼く等)を行い提供する営業
  • 既製品(冷涼飲料水、アルコール飲料等)及び既製品以外の自家製ジュース、コーヒー等の飲料を提供する営業など

共通基準の以下の項目について緩和されます。

床・内壁取り扱う食品や営業の形態を踏まえ、食品衛生上支障がないと認められる場合は、不浸透性材料以外の材料を使用することができる
排水設備取り扱う食品や営業の形態を踏まえ、食品衛生上支障がないと認められる場合は、床面に有しないこととすることができる
冷蔵冷凍設備取り扱う食品や営業の形態を踏まえ、食品衛生上支障がないと認められる場合は、施設外に有することとすることができる
区画食品を取り扱う区域にあっては、従事者以外の者が容易に立ち入ることができない構造である場合は、区画されていることを要しないこととすることができる