遺贈とその種類

遺贈(いぞう)は遺言によって自らの財産を無償で他人に与えること言います。

第九百六十四条 遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。

民法

財産を与えられる者を「受遺者(じゅいしゃ)」と言います。受遺者は相続人以外の者でも、相続人でもよいとされています。

遺贈の種類

遺贈には「特定遺贈」「包括遺贈」の2種類が存在します。

  • 特定遺贈
    特定の財産を、受遺者に与えることを「特定遺贈」と言います。
    一定量の種類物や一定額の金銭であってもよいです。
    例えば、
    「不動産甲をAに与える」「100万円をBに与える」
    などです。
  • 包括遺贈
    遺産の全部または一定の割合を受遺者に与えることを「包括遺贈」と言います。
    例えば
    「遺産の半分をAに与える」などです。
    包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有することとなります(民法940条)。
    例えば
    「遺産の半分をAに与える」という遺言がなされた場合、Aが本来の相続人ではなかったとしても、相続人と同一の権利義務を有する事となり、そこで示された割合に応じて債務も負担することになります。

    また、遺産については他の相続人と「遺産分割」にも参加する事になります。

    しかし、「相続人」と「包括受遺者」が全く同じかというと、そうではありません。
    両者には以下のような違いがあります。
    • 遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡した時は、その効力を生じないから、代襲相続はありません。
    • 遺留分もありません(兄弟姉妹は相続人ですが遺留分はありません)
    • 包括受遺者の1人が遺贈を放棄しても、相続人の持分が増えるだけで、他の包括受遺者の持分は増えない。
    • 相続人の法定相続分については登記をしなくても第三者に対抗できますが、包括受遺者の持分は登記をしないと第三者に対抗できない。