【農地手続】農地の賃貸借の解約(農地法18条)

(農地又は採草放牧地の賃貸借の解約等の制限)

第十八条 
農地又は採草放牧地の賃貸借の当事者は、政令で定めるところにより都道府県知事の許可を受けなければ、賃貸借の解除をし、解約の申入れをし、合意による解約をし、又は賃貸借の更新をしない旨の通知をしてはならない。

農地法

農地等の賃貸借の当事者は、農業委員会の許可を受けなければ、賃貸借の解除をすることができません。

許可の対象となるのは

  • 農地等の賃貸借の解除
  • 解約の申し入れ
  • 合意による解除
  • 更新拒絶の通知

などの場合です。

この許可は、単に「農地を売りたいが、賃貸借があるので売りにくいから」
といった理由だけでは認められません。

次のような事由がある場合にだけ認めらることとなっています。

許可されるケース

  • 賃借人が信義に反した行為をした場合
    賃借人の借賃の滞納、無断転用、田畑転換等の用法違反、無断転貸、不耕作、賃貸人に対する不法行為等
  • 農地等を農地等以外のもの(農地転用)にすることを相当とする場合
    例えば、具体的な転用計画があり、転用許可が見込まれ、かつ、賃借人の経営及び生計状況や離作条件等からみて賃貸借契約を終了させることが相当と認められるか等の事情により判断するものとする
  • 賃借人の生計、賃貸人の経営能力等を考慮し、賃貸人がその農地等を耕作または養畜の事業に供することを相当とする場合
    賃貸借の消滅によって賃借人の相当の生活の維持が困難となるおそれはないか、賃貸人が土地の生産力を十分に発揮させる経営を自ら行うことがその者の労働力、技術、施設等の点から確実と認められるか等の事情により判断されます。
  • 農地所有適格法人の要件を欠いた法人から貸付地の返還を受ける場合
  • その他正当な事由がある場合
    例えば賃借人から解除する場合、賃借人が離農する場合、農地を適正かつ効率的に利用していない場合など

許可が不要な場合(主なもの)

  • 合意による解約ではあるが(本来許可いるけど)、土地引き渡しの時期が解約の合意の成立後6カ月以内にある旨が書面において明らかな場合
  • 更新の拒絶通知ではあるが(本来許可いるけど)、10年以上の期間の定めのある賃貸借である場合(解約をする権利を留保しているもの等は除く)
  • 更新拒絶ではあるが(本来許可いるけど)、水田裏作を目的とする賃貸借の場合

許可手続き

解約等の許可を受けようとする者は、解約等をする日の3カ月前までに、申請書と添付資料を農業委員会を経由して都道府県知事に提出しなければなりません。

提出した申請は農業委員会で意見が付され、都道府県に送付されます。

提出書類は申請書と添付書類になります。
添付書類は以下の様なものになります。

  • 土地の登記事項証明書
  • その他参考となるべき書類
    賃貸借契約書の写し、農地転用事業計画書等