生産緑地制度とは、生産緑地法に基づき市町村長が都市計画として、市街化区域内において良好な都市環境の形成に資するため、緑地機能を有し、公共施設用地として適している500㎡以上の農地等を生産緑地地区に指定する制度です。
条例により下限面積を300㎡以上としている市町村も多数あります。
生産緑地として指定されると
生産緑地として指定されると以下のようなメリットがあります。
- 固定資産税が市街化区域内の一般農地同様に低い
- 相続税における評価減額、相続税の納税猶予がある
これに対して、生産緑地以外のいわゆる「宅地化農地」の場合には、農地の所在地によって、固定資産税が宅地並み評価・宅地並み課税となるほか、相続税の納税猶予を受けることができないこともあります。
生産緑地の制約
生産緑地として指定されると、使用収益をする者は、当該生産緑地を農地等として管理しなければなりません。
また、以下の行為については、市町村の許可が必要となります。
- 建築物その他の工作物の新築、改築または増築
- 宅地の造成、土石の採取その他の土地の形質の変更
- 水面の埋め立てまたは干拓
市町村の許可なくこれらの行為を行った場合には、市町村は原状回復命令を発することができます。
生産緑地の買取申出制度、指定解除
生産緑地は、生産緑地として指定されてから30年が経過した場合、農林漁業の主たる従事者が死亡した場合等に、市町村長に買取りを申し出ることができます。
市町村は申出日から1カ月以内に、市町村で買い取るかどうかを判断し、その結果を生産緑地所有者に通知します。市等で買い取らない場合、市町村長は更に農林漁業従事者が取得できるように斡旋します。
その上で、買取りの申出の日から3カ月以内に当該生産緑地の所有権の移転が行われなかったときは、当該生産緑地については、行為の制限が解除されます。
特定生産緑地の指定
2022年問題を受けて、生産緑地法が改正され、新たに特定生産緑地制度が創設されました。
生産緑地の所有者等の意向を基に、市町村長は生産緑地の指定から30年経過するまでに、生産緑地を「特定生産緑地」として指定できることになりました。これにより30年経過後も従来適用されていた税制特例措置を受けることができます。
この「特定生産緑地」の指定を受けた場合、買取りの申出ができる時期は「生産緑地の指定から30年経過後」から、更に10年延期されます。また、この10年が経過する前であれば、改めて所有者等の同意を得て、繰り返し10年の延長ができます。
「特定生産緑地」に指定されない場合は、所有者が市町村長に買取りの申出をしない場合でも、従来の税制優遇措置が受けられなくなります(ただし、激変緩和措置がある)。
「特定生産緑地」の指定は、当初の生産緑地の指定から30年経過するまでに行うこととされており、30年の経過後は「特定生産緑地」として指定は受けられません。
2022年問題
生産緑地の多くは平成4年(1992年)に生産緑地の指定を受けたものであるため、令和4年(2022年)に指定から30年が経過し、生産緑地の所有者が、行為制限を解除することで土地が大量に市場に出回り、地価の大幅な下落を引き起こすと懸念された問題。(現時点(2023年)で暴落等は起こっていません。)
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