建設業の許可の要件の一つに、営業所ごとに「専任の技術者がいること」があります。
これは、建設業の許可をあたえるにあたっての基準である、経営能力、財産的基礎、技術力、誠実性の中の「技術力」に該当します。
専任の技術者がいることとは
専任の技術者(センギと略して言ったりします)がいることとは、営業所ごとに、その営業所に常勤して専ら職務に従事する者であり、許可を受けようとする建設業に係る建設工事についての「国家資格または実務の経験を有する」技術者をいいます。
なお、建設業許可には「一般建設業」と「特定建設業」と区分がありますが、専任の技術者の要件がそれぞれ違います。
一般建設業における専任技術者
申請者が営業所ごとに次のいずれかに該当するもので専任のものを置く必要があります。
- 許可をうけようとする業種に係る建設工事に関し、高等学校もしくは中等教育学校を卒業した後5年以上または同法による大学もしくは高等専門学校を卒業した後3年以上実務の経験を有する者で一定の学科を修めた者。
※中等教育学校とは、中高一貫校の事。 - 許可をうけようとする建設業に関し専修学校の専門課程を卒業した後3年以上実務の経験を有する者で在学中に「指定学科一覧表」に記載する学科を修めたもののうち、専門士または高度専門士を称するもの。
※ 学校教育法によると、専修学校とは「職業もしくは実際生活に必要な能力おを育成し、または教養の向上を図る」ことを目的とした学校と定められています。ちなみに、「専門学校」は専修学校の一種です。
※「専門士」とは、ざっくりいうと専門学校を卒業した人(専修学校の専門課程を修了した者)に与えられる肩書です。大学卒業なら「学士」といったりしますよね。 - 許可を受けようとする建設業に関し専修学校の専門課程を卒業した後5年以上実務の経験を有する者で、在学中に「指定学科一覧表」に記載する学科を修めた者。
- 許可を受けようとする業種に係る建設工事に関し、旧実業学校卒業程度検定規定による検定で一定の学科に合格した後5年以上または専門学校卒業程度検定規定による検定で一定の学科に合格した後3年以上実務の経験を有する者。
- 許可を受けようとする業種に係る建設工事に関し10年以上実務の経験を有する者。
- 許可を受けようとする業種に応じ、「専任技術者となりうる国家資格等一覧」に掲げる者。
- 許可を受けようとする建設業の「専任技術者となりうる国家資格一覧」に掲げる登録基幹技能者講習(ある種類の建設業に係る建設工事に関し10年以上実務の経験を有することを受講資格の一つとし、かつ、当該受講資格を有する者が受講するものに限る)を修了した者。
- 国土交通大臣が上記1~4までに掲げる者と同等以上の知識および技術または技能を有するものと認定した者。
※ 専任ものとは、その営業所に常勤している者のことです。
※ 実務の経験とは、建設工事の施工に関する技術上のすべの職務経験をいい、発注者側での設計、現場監督技術者としての経験、土工およびその見習いに従事した経験などの事です。ただし雑務は含まれません。
※ 「指定学科一覧表」はこちらで確認してください。(出典:国土交通省)
※ 「専任技術者となりうる国家資格一覧」はこちらで確認してください。(出典:国土交通省)
特定建設業における専任技術者
申請者が営業所ごとに次のいずれかに該当する者で、専任のものを置く必要があります。
ただし、指定建設業の許可を受けようとする申請者は、営業所ごとに置くべき専任の者は以下の1または4に該当する必要があります。(2と3を満たしても許可がおりません。)
- 許可を受けようとする建設業の種類に応じ「専任技術者になりうる国家資格等一覧」掲げる者。
- 上記の一般建設業における専任技術者の1~5までのいずれかに該当する者のうち、許可を受けようとする業種に係わる建設工事に関し、2年以上一定の指導監督的な実務の経験を有する者。
- 許可をうけようとする建設業の「専任技術者になりうる国家資格等一覧」に掲げる登録基幹技能者講習を修了した者のうち、許可を受けようとする建設業に係わる建設工事に関し、2年以上一定の指導監督的な実務の経験を有する者。
- 許可をうけようとする業種が指定建設業である場合においては、過去に特別認定講習を受け、当該講習の効果評定に合格したもの、または国土交通大臣が定める考査に合格した者。(建設業法第十五条第二号ハの規定による同号イに掲げる者と同等以上の能力を有する者)
詳しくはこちらを参考にしてください。(出典:国土交通省)
※ 指定建設業とは、土木工事業、建築工事業、菅工事業、電気工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業の7つをいいます。
※ 一定の指導監督的な実務の経験とは、許可を受けようとする建設業に係る工事で、元請であり、請負代金が税込み4500万円以上で、建設工事の設計、施工の全般について、工事現場主任者や工事現場監督者のような立場で工事の技術面を総合的に指導監督した経験をいいます。
(請負代金については、昭和59年10月1日前の経験では1500万円以上、昭和59年10月1日~平成6年12月28日前の経験では3000万円以上)
以上を簡単にまとめると専任の技術者の要件は、
「国家資格者」または「学校(高校、大学、専門学校)卒業後一定の実務経験を積んだ者」または「一定の実務経験を積んだもの」または「国土交通大臣が認めた者」を営業所ごとに置いてくださいね。
ということです。
専任技術者は同一営業所であれば、複数の建設業を一人でまかなうことができます。
専任技術者は営業所に常勤している必要がありますが常勤性の確認は、その人の勤務状況や給与の支払い状況で確認されます。
例えば、住民票、健康保険被保険者証や国民保険被保険者証、所得税の確定申告書など。
実務経験や指導監督的実務経験の確認は、工事の実績確認書類(契約書、注文書、請求書等)でおこないます。
これらの書類の「工期・工事名・工事内容・請負金額等」を見られ、要件を満たしているかどうか確認されます。
上記の実務経験や指導監督的実務経験は期間が重複している場合、それぞれの経験年数として算定されます。